「へそ展」日記

ひとつの展覧会の裏側には、展覧会を訪れただけでは見えない、
さまざまなプロセスと試行錯誤(と、ときどきドラマ)があります。
〈「へそ展」日記〉は、「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」展、
略して「へそ展」が出来上がり・閉幕するまでの舞台裏を、
府中市美術館から発信するブログです。


仙厓さんの梅

昨年11月、仙厓の作品を撮影するため、へそ展担当学芸員の私と、講談社の図録制作チームで、博多の幻住庵を訪ねました。仙厓がたくさんの絵を描いた場所です。

非公開のお寺ですが、境内にある仙厓ゆかりの場所や石碑などを図録で紹介したいと思い、撮影終了後、ご住職に一つ一つ案内していただきました。

その一つが「雲井の梅」という梅の木。福岡藩主から仙厓が賜ったという、重厚かつ整った、見事な枝ぶりの古木です。そして、この時、つまり11月に撮った写真を、図録のコラム「仙厓さんのアトリエ」のページに入れて、こんなレイアウトを組みました。

さて、展覧会の開幕が近づいて、作品をお借りするため、私は再び幻住庵にうかがいました。図録の最終校正を残すのみとなっていた2月22日のことです。

冷たい空気の中、気を引き締めて門をくぐり境内に入った瞬間、今まで見たこともないような美しい紅梅が目に飛び込んできました。あの雲井の梅です。

あまりの素晴らしさに、作品の借用作業を終えると、すぐに写真を撮らせていただきました。そして、お寺を出発し、福岡市内を走る美術品専用トラックの中で、「そうだ、この興奮を、ツイッターでみなさんにお伝えしよう!」と思いつきました。

 

ツイッターを担当している図録制作チームの編集者に、画像のサイズを小さくしてメールで送ると、まもなく驚きの言葉が返ってきました。「図録の写真を差し替えるから、すぐに大きなサイズの画像を送ってください!」。すでに最終確認を残すのみだった図録の製作ですが、あまりに美しい梅を見て、なんとしてでも図版を差し替えようと考えたのです。

そうして出来上がったのが、このページです。雲井の梅は、花が大きく、花弁にはふっくらと厚みがあって、それはそれは見事です。本物の花の美しさをどれだけお伝えできているか、心もとないのですが、仙厓さんも愛でた梅を、ぜひ図録でご覧ください。

(府中市美術館、金子)

家光兎のアレを探して

おかげさまで大いに盛り上がっている「へそ展」ですが、前期も気がつけばあと10日ほど。ご案内の通り、前後期で大幅な展示替えがありますので、前期でお目当ての作品がある方は急がねばなりませんし、後期を楽しみにしていらっしゃる方は、そのスタートを指折り数えているかもしれません。

すでにご来場の方で、この「へそ展日記」をご愛読の方、美術館周辺のご散策をお楽しみいただけたでしょうか?
先日の金子学芸員の講座でいきなり前回の「三角点ネタ」が取り上げられ、ドキドキしてしまいましたが、ご好評をいただけているものと勝手に解釈しまして、調子に乗って散策編第3弾をお届けします。

と言いましても、スポットは今回も「浅間山」(なんと読むか、覚えましたね?)です。そう、美術館近くにある、あの浅間山公園です。

公園
▲今回も浅間山公園よりお届けします。

地形やら、富士塚やら、三角点にハァハァしていた担当者、この見所盛り沢山の低山を登っていて、あることに気づいたのです。

例えば、こんなのとか。
切り株
こんなのとか。
切り株
こんなの。
切り株
いかがですか? へそ展を存分に楽しんできた皆様なら、「あ!」と思うハズ。

へそ展で皆様の心を鷲掴みにした、家光様の兎図。「ボディか?」はたまた「マントか、ガウンなのか?」ーー邪悪にも見えるその表情もあって皆様の妄想が膨らみ、実際鑑賞して「えー⁉︎ 切り株なの?」と一部の方に衝撃を与えたアレです。そんな兎がちょんと乗るのにちょうどいいサイズの切り株が、浅間山のいたるところにあるのです。そこで、あの兎が佇んでいたのは、こんな切り株だったのでは? と妄想する散策はいかがでしょう?

▲ちなみに担当者が「コレだ!」と思った切り株はこんな感じです。

先日の講座や図録の解説にあったように、唱歌「待ちぼうけ」の元ネタである「韓非子」のエピソードも思わせる兎と切り株。家光様も江戸のどこかで見かけたこんな切り株をイメージして描いたのかもしれません。そう思うとワクワクしますね。そして、本物の切り株を眺めると、家光様、切り株は意外とよく描けている気もしてきます。
ということで、家光兎の切り株はコレだ! というものを見つけましたら、#家光兎のアレ で、Twitterなどに投稿してみてください(真顔で)。

ぬこ
▲おまけ。都営浅間町二丁目アパート付近にいたねこ。

(図録制作チーム、藤枝)

Copyright©2018 府中市美術館 All Rights Reserved.