2026年9月19日[土]−11月29日[日]

みどころ

見どころ

 ボタニカルアートは、植物学の研究から生まれた植物画のことです。植物図鑑の図版のように正しく特徴が捉えられ、かつ、一枚の絵としても楽しめる魅力のある作品をこう呼びます。本展では、ボタニカルアートがどのようにして生まれ、人々に愛されたのか、さらに、植物のモチーフが日用品のデザインとして生活に広がっていた様子もご覧いただきます。舞台となるのは18世紀後半から19世紀のイギリスです。
 もともと植物の種類が少なかったイギリスでは、大航海時代に外国から次々と輸入される珍しい植物に人々が夢中になりました。そして、18世紀後半になると外国の珍しい植物や身近な園芸植物をリアルに描いたボタニカルアートの人気にも火がつきます。植物図鑑から切り取った植物画を部屋に飾ったり、食器の図柄にしたりと「花のある暮らし」に多くの人が憧れたのです。
 さらに19世紀になると「人が幸せに暮らすためには自然は欠かせない」という信念を持ったウィリアム・モリスが、洗練された植物模様の日用品をデザインします。庭の草花を部屋の中でも楽しめる、そんな壁紙やテキスタイルで人々の暮らしを彩ろうとしたのです。
 この展覧会では、イギリスを代表するボタニカルアート『カーティス・ボタニカル・マガジン』や『フローラの神殿』、さらにダービーやウェッジウッドの食器、ウィリアム・モリスの壁紙やテキスタイルなどで、イギリスの人々が憧れ続けた「花のある暮らし」をご覧いただきます。

みどころ1 ボタニカルアート 科学と芸術

ボタニカルアートは、絵として美しいだけでは役割を果たせません。花びらの数や形などの特徴が正しく捉えられ、さらに分かりやすく表現されていなければならないのです。それは、科学的な目を通して生み出された芸術と言えます。

ヤマヤグルマギク(キク科)
『カーティス・ボタニカル・マガジン』
1790年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

ソリダゴ・ストリクタ(キク科)、ムラサキオグルマ(キク科)、レダマ(マメ科)
『ニュー・ボタニック・ガーデン』
原画:シデナム・ティースト・エドワーズ
1812年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

シクラメン(サクラソウ科)
原画:フリードリヒ・ギンペル
1805年–37年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

みどころ2 『フローラの神殿』 世界一美しい植物図鑑

医師のロバート・ジョン・ソーントンが、最新の植物学の知識を広めるために編集した植物図鑑。一流の画家、最高の版画技術を用いた極めて贅沢なボタニカルアートの傑作です。

ゲットウ(ショウガ科)
『フローラの神殿』
原画:ピーター・ヘンダーソン
1801年
Photo ©︎ Shunta Inaguchi

ハス(ハス科)
『フローラの神殿』
原画:ピーター・ヘンダーソン
1804年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

ハナガサシャクナゲ(ツツジ科)
『フローラの神殿』
原画:フィリップ・ライナグル
1804年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

みどころ3 うつわの花々 ダービーとウェッジウッド

イギリスで磁器が発展したのは18世紀後半でした。この頃に創業したダービー社やウェッジウッド社が、図柄に取り入れたのが、当時、流行していたボタニカルアート。うつわの花々は食卓を華やかに彩りました。

ウォーター・リリー
「ダーウィン・サービス」/平皿
ウェッジウッド社
1807年–08年
Photo ©︎ Shunta Inaguchi

グラディオルス・プニケウム(アヤメ科)、ホンカンゾウ(マンシュウカンゾウ)(ススキノキ科)
平皿
ダービー社
1795年頃
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

みどころ4 幸せな生活と草花 ウィリアム・モリス

「人が幸せに暮らすために欠かせないものは、自然だ」と考えたモリスは、植物をモチーフとした壁紙やテキスタイルで、自然を身近に感じられる生活を生み出そうとしました。モリスの信念を受け継いだデザイナーたちも、数多くの植物柄をデザインしています。

ウォーター・リリー
「ダーウィン・サービス」/平皿
ウェッジウッド社
1807年–08年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

ゴールデン・リリー
壁紙
デザイン:ジョン・ヘンリー・ダール
1899年
Photo ©︎ Brain Trust Inc.

Copyright©2026 府中市美術館 All Rights Reserved.