へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで

2019 3.16[土]-5.12[日]

みどころ

「ふつう」を知ると見えてくる。

いま、江戸時代の画家の中で、伊藤若冲や曽我蕭白ら「奇想の画家」が人気です。鮮やかな色やおかしな形にあふれた若冲の絵も、蕭白の奇怪な人物画も、強烈で奇抜で、心を揺さぶります。
しかし考えてみれば、「奇想」という魅力は、「そうではないもの」、つまり「ふつう」があって初めて成り立つのかもしれません。
美術はすべて「驚き」です。奇想の作品のように、呆気にとられたり気持ち悪かったりすることもあれば、きらきらした美しさにときめいたり、あるいは、穏やかな夢心地を味わえる絵もあります。描き手たちは、一枚の平らな画面の上に、見た人の心をさまざまに動かすための技術や工夫を込めてきたのです。
「奇想」への注目によって「ふつう」になってしまった江戸時代の「きれいなものづくり」ですが、そこには、豊かな歴史と美の手法が生きています。そんな「ふつう」の魅力を知れば、奇想も、そして「日本美術史」という更なる広い世界も、もっともっと輝いて見えることでしょう。

みどころ1美術史のメインストリーム(=ふつう)を俯瞰する
展覧会

若冲ら「奇想」に対して、「ふつう」の絵画とはどんなものだったのでしょうか? 土佐派や狩野派、円山四条派など、美術界のメインストリームで「きれいなものづくり」に情熱を傾けた画家たちの仕事を紹介します。

やまと絵

平安時代に生まれた絵のスタイル。貴族らの雅びな世界が描かれていることから、この展覧会では「まろ画」と呼んでいます。柔らかな線と形、緑や青などのふくよかな色彩が特徴。江戸時代には土佐派や住吉派などの画家が活躍しました。

浮田一蕙 隅田川図(後期展示)

狩野派

中世、宋や元からもたらされた中国絵画から、「漢画」と呼ばれる水墨画のスタイルが生まれました。その描法をもとに、豪快な作品から端正な作品まで展開したのが狩野派です。

狩野養信 日月岩波図(後期展示)

円山四条派

応挙は西洋画などに触発されて、目に映るものをリアルに描くという新しい絵画を模索し、日本絵画の歴史を変えました。その画法を受け継いだのが、円山四条派の画家たちです。

源琦 藍采和図(前期展示)

円山応挙 西王母・寿老図(後期展示)

みどころ2「敦賀コレクション」は「美しい絵」の宝庫

ただただ美しいこと。それも美術との出会いにおける大切な「驚き」のひとつです。敦賀市立博物館の江戸絵画コレクションから、選りすぐりの「美しい」作品群がやってきます。日本の絵ならではの絵の具の美しさ、墨の雄弁さをご覧ください。

絵の具の美しさ

日本絵画の一番の特徴は、絵の具の美しさ。中でも岩絵の具は、鉱物を砕いて作られるため耐久性にも優れ、時代を経ても、鉱物特有の混じり気のないキラキラした輝きを感じることができます。

岸恭 四季花卉図屛風(前期展示)

墨の雄弁さ

日本には水墨画の伝統があります。墨一色で描く絵画ですが、実物を見てみると、墨による表現の幅は実に様々で、墨がいかに雄弁な「色」であるかがよく分かります。

曽我二直庵 岩上鷹図(前期展示)

みどころ3「ふつう」と「奇想」の間にあるユニークな画家の
作品も揃う

これは「奇想」?それとも「ふつう」? ちょっと迷ってしまうような作品も、あえてご覧いただきます。今は「奇想」に見えても昔は「ふつう」だった、あるいはその逆の作品もあるかもしれません。そんな悩ましいことにも目を向けながら、江戸絵画の「ふつう」とは何かを考えてみます。

岸駒 白蓮翡翠図(前期展示)

原在中 菊に鶏図(後期展示)

みどころ番外編動物絵画もたくさん揃う

「春の江戸絵画まつり」では、これまでにも江戸時代の動物絵画を取り上げてきました。今回は、動物絵画における「ふつう」について考えてみます。

円山応挙 狗子図(前期展示)

長沢蘆雪 紅葉狗子図(後期展示)

岸駒 猛虎図(後期展示)

※作品はすべて敦賀市立博物館蔵

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