日本は動物絵画の宝庫。
古くから、人々は動物の絵を描いてきました。美しい造形、ふしぎな生態、かわいらしさ……人とはちがう命のあり方に心ひかれ、それを形にしようしてきたのです。中でも、日本は動物の絵の宝庫。かわいい、面白い、美しい……理屈抜きに楽しめる作品が山ほどあります。本展では、西洋の絵とも比べることで、この土壌を育んだ背景や歴史を探ります。
描かれた動物たちの「ふしぎ」
かつて、動物たちの世界はあらゆる「ふしぎ」に満ちた別世界でした。こんなに大きな生き物がいるという「ふしぎ」、どこか神性を感じさせる「ふしぎ」な佇まい、神々の国にいるに違いない「ふしぎ」な生き物……昔の人々が動物たちに感じた様々な「ふしぎ」を表した作品を紹介します。
春日鹿曼荼羅図 10月26日から11月14日まで展示
重要文化財 奈良国立博物館蔵
ギュスターヴ・モロー 一角獣 前・後期展示
ギュスターヴ・モロー美術館蔵
Photo © RMN-Grand Palais / Christian Jean / distributed
by AMF
伊藤若冲 象と鯨図屏風 前期展示 MIHO MUSEUM蔵
とにかく「かわいい」、日本の動物絵画
日本の動物の絵といえば、なんといっても、その「かわいさ」が特徴です。禅画のトラも、現代の我々から見れば、文句なしにかわいいですし、江戸時代には、円山応挙の子犬の絵をはじめ、様々なかわいい動物の絵が描かれ、人々に受け入れられました。中世から近世、そして近代までの作品で「かわいい動物絵画」の歴史を振り返ります。
尾形光琳 竹虎図 11月16日から28日まで展示
京都国立博物館蔵
長谷川潾二郎 猫と毛糸 前・後期展示
子犬の絵ばかりを集めた展示コーナーです。江戸時代の子犬の絵の中から、宗達や、応挙、蘆雪、若冲らによる極め付きのかわいい作品だけを集めました。
俵屋宗達 狗子図 前期展示
円山応挙 雪中狗子図 前期展示
長沢蘆雪 菊花子犬図 後期展示
上田公長 犬の子図 後期展示
「へそまがりな感性」から生まれた動物絵画
2019年、当館では「へそまがり日本美術 禅画からヘタウマまで」を開催しました。完璧ではないもの、不格好だけれども心に残るものを愛してきた、我々の「へそまがりな感性」に着目して、日本美術を見直した展覧会です。本展では、日本とヨーロッパの「へそまがりな感性」が生み出した作品を揃えました。
甫雪等禅 叭々鳥図 9月18日から11月14日まで展示
ポール・ゴーギャン 微笑 前期展示 ランス美術館蔵
©Reims, Musée des Beaux-Arts-photo Christian Devleeschauwer.
決して上手いとは言えないけれど、独創的な絵を描いた徳川幕府三代将軍・家光。現代人の感性に響くその作品を、過去最大規模の内容で紹介します。
徳川家光 兎図 前期展示
徳川家光 鳳凰図 後期展示 德川記念財団蔵
徳川家光 竹に雀図 前期展示