「ふつう展」日記

ひとつの展覧会の裏側には、展覧会を訪れただけでは見えない、さまざまなプロセスと試行錯誤があります。「ふつう展」日記は、「ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります 京の絵画と敦賀コレクション」展、略して「ふつう展」に関わるスタッフが、折々に皆さんにお伝えしたいことを発信するブログです。


蘆雪の「へそまがり猿」@京都の老舗・古書画屋さん

出品作品が決まるまで、担当の学芸員は「へそまがり日本美術」にふさわしい作品を探して、作品調査の旅を繰り返します。旅先は日本各地の美術館・博物館であったり、個人のご所蔵家であったり、さまざまです。
この日は、京都の老舗の古書画屋さんへ。なんと、ご主人が最近見つけたばかりの長沢蘆雪の《猿猴弄柿図》をいち早く、見せていただきました!
(講談社図録制作チーム、久保)

   

真っ赤な顔、黄色い目、コウモリのような耳……。「かわいさ」とは無縁のその姿に蘆雪の「へそまがりな感性」が感じられます。


江戸絵画には必ずしも、もともと名前があるわけではないので、初めて作品が出てきた場合、展覧会出品に際して、どんな名称にするのか悩みます。今回は、箱にかつての所蔵家がつけたラベルが貼ってあったので、そこから《猿猴弄柿図》の名を引き継ぎました。

 

 

一癖も二癖もありそうな顔立ちの猿。「へそまがり日本美術」にぴったりです。

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