開幕までいよいよあと3日。
今日は「新発見」のことについて、少し考えてみました。
近年、展覧会の開催にあわせて、初公開作品のニュースが新聞やテレビなどで華々しく報道されたりしています。
「若冲の幻の作品、初公開!」といった具合に。
▲へそ展で展覧会初公開の徳川家光《兎図》。
「〈新発見〉ってどういう意味?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。ここで言う「新発見」とは、近年の研究者に知られることなく、展覧会や本などでも紹介されたことのない作品のこと。本だけで紹介されたことがある場合には、展覧会「初公開」となるわけです。
そこで、へそ展の図録の制作が始まった昨年春頃、私も金子学芸員に聞いてみました。
「へそ展では初公開とか、新発見みたいな作品はあるんですか?」
すると金子学芸員からは
「ありますよ、おそらく数十点にもなるんじゃないでしょうか。
〈春の江戸絵画まつり〉はいつもそうです」
と、驚きの答えが返ってきました。
「研究の成果を展覧会で発表するのが学芸員の仕事。ですから、いわゆる“新発見”とか、”初公開”といった作品はいつもこれくらいになるんです」
なのだそうです。本当にびっくりしました。
でも、言われてみれば納得で、だから〈春の江戸絵画まつり〉ではいつも、「こんなの見たことない!」という面白い作品が並ぶんですね。府中市美術館での展示をきっかけに、その後、一躍、有名になった作品も思い浮かびます。
そして、金子学芸員の予想通り、へそ展での展覧会初公開作品は、最終的になんと44点になりました。
▲こちらも展覧会初公開、仙厓の《十六羅漢図》。「こんな十六羅漢は見たことがない」と金子学芸員。
しかも、そういった”新発見”だけでなく、美術史的にも重要と定評のある作品も、さりげなく出品されていることもすごいところなんです。ぜひ、見にきてください!
(図録制作チーム、久保)