「ふつう展」日記

ひとつの展覧会の裏側には、展覧会を訪れただけでは見えない、さまざまなプロセスと試行錯誤があります。「ふつう展」日記は、「ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もあります─京の絵画と敦賀コレクション」展、略して「ふつう展」に関わるスタッフが、折々に皆さんにお伝えしたいことを発信するブログです。


撮影のこと①図録の写真、ほとんど撮り下ろしました。

ふつう展、正式名称「ふつうの系譜 「奇想」があるなら「ふつう」もありますー京の絵画と敦賀コレクション」展、開催までいよいよ2ヵ月を切りました。目下、図録の制作が佳境を迎えつつあります。

ふつう展は、若冲や蕭白ら奇抜な絵を描いた「奇想」の画家たちに対して、やまと絵や土佐派といった古くからの画派に属する、「ふつう」の画家たちの残したものを、改めて、じっくりと見てみよう、という内容の展覧会です。

▲ポスターのメインビジュアルは、「ふつう」の画家の代表する土佐光起の描いたお姫様。

 

「ふつう」の画家たちは、その時々において、顧客となる人々が求めるものを描いてきましたが、彼らの仕事とは、ひと言で言えば「きれいなものづくり」です。ということは、ふつう展の図録とは「きれいなもの」図鑑なのです。

ですから、図録の制作にあたっては、「図版の美しさ」に徹底的にこだわろう、ということになりました。当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、それが意外と難しいのです。通常、美術展の図録を作る際、作品の画像は美術館などの各所蔵機関から借用して印刷にまわすものです。たとえ一枚一枚の画像のクオリティが良くても、それぞれに異なる条件下で撮影された画像を使って、記憶を頼りに色校正をし、仕上げるというのは、言うほど簡単なことではありません。そこで今回は、可能な限り全ての作品の写真をこの展覧会のために撮り下ろすことを計画しました(結果、1点を除いて全ての作品を新たに撮影することができました!)

▲撮影初日。まずは、屛風などの大物から始めます。

出品作品の9割は敦賀コレクション、つまり、敦賀市立博物館の所蔵品です。通常、作品をお借りするのは、展覧会の直前なのですが、今回は、撮影のためにそれを大幅に早めて、半年前にほとんどの作品をお借りし、府中市美術館で撮影を行いました。

▲箱を開けると、美しさに歓声が上がります。

実物の「ふつう画」は本当にきれいな作品ばかりです。岩絵の具の輝き、墨の色の多彩さ、金の豪華さ、描線の繊細さ──やまと絵や狩野派の作品を「主役」として、じっくり見る機会を、持ったことのない私には、どれも本当に驚くべき美しさで、「すごい!」「きれい!」を連呼するばかりでした。ぜひ、皆さんにも会場でじっくりとご覧いただきたいです。

▲撮影現場には、東京印書館の「超すご腕」プリンティング・ディレクターの高柳さんもご同席なさって、一つ一つの色をご確認くださいました! 色校正はこれからですが、本当に楽しみです。

(図録制作チーム、久保)

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